レスリー・チャン三回忌法要

 2003年3月27日酉蓮社にて香港の映画スター レスリー・チャン氏の三回忌法要を沢山のファンの方々とお勤めしました。これはその時の報告です。酉蓮社のホームページに体裁を直して掲載しました。


レスリー・チャン三回忌法要
 ー報告 ー 

命日を前にした3月27日(日曜)、東京都目黒区の酉蓮社 成照会館において、ファンによる日本の慣習にしたがったレスリーの三回忌法要を行いました。 あの日以来、一度きちんとお経を上げたいとずっと思っていたため、知り合いから紹介されたお寺のご住職に相談しましたところ、「故人の成仏を願って法要を行う事は、信仰や宗派にこだわることなく、また家族や親族でなくても、誰がされても故人の為になる良い事です。」とおっしゃって下さったので、節目となる三回忌法要を行う事を決意しました。

当日、11時より受付を始め、レスリーの歌が流れる中、お申し込みを頂いた30名ほどの方たちが次々に会場へ入られました。 祭壇の正面には、友人よりお借りしたレスリーの衣装と、「紅」の大きなポスターが飾られ、さらにご参加の皆さんが家で飾っている、ご自分の思いのこもったレスリーの写真をそれぞれに置いていただきました。きっとご自分の一番好きなレスリーなのでしょう、本当に色々な時のさまざまな顔のレスリーが並びました。 11時45分法事に先立って、事前に寄せられた19名分の「今レスリーへ伝えたい言葉」が、レスリーの歌のピアノ曲、オルゴール曲などが静かに流れる中で読み上げられました。
 
ほんの少しですが抜粋します。
 

      •  「Dear レスリー 、貴方の魂は今 穏やかで平和な日々を過ごしているでしょうか? そうであれば 私たちは安心です。貴方の結んでくれた縁で繋がれた 仲間は貴方のことを忘れません。どうか 貴方が愛した人々や貴方を愛した人々を遠くで見守ってください。それが 私たちの力になります。私たちはこの地上にあって 貴方が言っていた 『自分のやるべきことを成す』日々を送る道を歩んで行きます。《明星》という歌のように 明星になった 貴方を思いながら。どうか見守っていてくださいね。」

 

      •  「 レスリー、私にとって唯一無二の人。 あなたに変わる人など、この一生をかけても見つけることは出来ないでしょう。今日はあなたの魂が穏やかでやさしい陽の光にあふれたところへお導きいただけるよう、遠方から合掌させていただきますね。」

 

      •  「レスリー、どうしてますか?そちらにもだいぶ慣れたよね?私たちは大丈夫、だから心配しないで。あなたがそちらにいても、こちらにいても、気持ちはずっと変わりません。多謝、哥哥、安らかにお眠り下さい。」

 

      •  「あなたと同じ時代を一緒にすごせて幸せです。たくさんのありがとうをあなたに。レスリー、大好き!!」

 
12時より三縁山 酉蓮社のご住職による法要が厳かに執り行われ、途中参列者によるお焼香が行われました。やはりさまざまな思いが交差するのでしょう、涙が伝いハンカチを握り締める人の姿がそこかしこでみられました。 読経を終えて、ご住職から法話「命について」をお話し頂きました。 以前よりレスリーチャンの名前は知っていたというご住職ですが、法事のために、ご住職からの要望で、レスリーについての資料をお渡ししていたところ、レスリーの仕事や彼がどのような人であったかをとても深く学んでくださり、本当に素晴らしい、心にしみる法話を我々に語って下さいました。さらにレスリーの素顔が分かるような映画を1本見せてくださいとのご要望もあり、熟考の末お渡しした「君さえいれば」のビデオも、「とても面白いですね。」と気に入ってくださったようで、法話の中でも、この映画の二人の女性たちに触れ、お互いが相手を思いやり、相手の幸せを願う姿に感動しましたと述べられました。たくさんお話しくださった中、特に印象に残ったものを簡単にご紹介します。
 
『人は「三世」に住むといいます。「過去世」「現世」「来世」の三世です。 「過去世」は生まれるまでの多くの出会いに」よって彼が誕生した、その過去の果てしない流れの世界。そこには 一人の人間が存在するまでに気の遠くなるほどのたくさんの命が継がれているのです。「現世」とは彼が命を持って生きていた世界。そこでは人々に感動を与える歌や映画など多くの素晴らしい仕事を成していて、私たちはたくさんの喜びを彼からもらっていました。彼自身もまた、ファンの応援をパワーとして受け取る事で、素晴らしい活動が出来ていました。そして今彼は「来世」にいて、現世にいる私たちを守る仕事をしています。だから彼は、居ないのではなく、「来世」で別の役を成しているのです。ですから、たとえ宗教が異なっていても三回忌法要を営んだことを彼はちゃんと見てくれています。このように心を通じ合わせ、喜びをもらう、この感動を受ける心のつながりの関係を「感応道交」と言います。皆さんは彼と感応道交で繋がっているのです。』
 
正しく理解しているかどうか自信ありませんが、レスリーが現世に命を受けて生きていた時、我々もまた過去世の膨大な命のつながりによって現世に存在し、彼と出会う事が出来たわけで、これが「縁」というものなのでしょう。今、来世からレスリーが私たちを守ってくれているのだということが、なんとなく信じられました。今でも私たちはレスリーと繋がっているのだということに救われる思いがしました。

 

法要が終わり、別室にレスリーの衣装を移し、レスリーのための席を設け、影膳を据えて、ご参加の皆さんと一緒にお食事を頂きました。法要の時には涙を見せた方々も、レスリーの話に興じるうちにだんだんと元気になり、最近ファンになった方も、古くからのファンの方も、皆すぐにうちとけて、初対面とは思えない程なごやかに、にぎやかに話が弾みました。衣装を貸して下さった方のご好意で、皆さんに衣装を触っていただいた時には、おっかなびっくり触れる方あり、いとおしそうにスパンコールをなぞる方あり、作りはどうなっているのかと興味津々裏まで覗く方あり、大いに盛り上がりました。今回初めて気が付いたのですが、この衣装には後ろ身頃の裾の位置に、肩に縫い付けてあるのと同じ「L」の字が縫いとめられていました。こんなに近くで見ないと気が付かない事でした。レスリーもきっと笑みを浮かべて、楽しそうな我々の様子を見ているのではないかしらと思わせる、穏やかな日差しのお座敷でした。
 
3時ごろもう一度祭壇のレスリーに別れを告げて散会となりましたが、その頃には皆さん、レスリーの生前と変わらないような笑顔が見られました。こうしてレスリーはいつも私たちに笑顔をくれていたな、生きる楽しさを教えてくれていたなと、たとえ法事でも、レスリーのことで集まればこんなに元気をもらえるのだと、レスリーに改めて感謝したのでした。

当日用意したもの: 

 
    •  お弁当…香港にもお店のある、もしかしたらレスリーも食べに行った事があるかもしれない「なだ万」のもの。

 

    •  お供え…98年「新上海灘」のプロモーションで来日した時、友人がレスリーにプレゼントをした、レスリーの似顔絵を袋に印刷したドラ焼き。今回同じ似顔絵とレスリーへのメッセージ「風継続吹 レスリー、いつもあなたは私たちの心の中に。」を印刷して、もしかしたらレスリーも食べたかもしれないお店(さか昭)のドラ焼きをお供えし、参加者にもお配りしました。

 

    •  引き出物…レスリーが京都で買い求めたという「松栄堂」のお香、「フォレスト・木もれびをあびて」を数本づつお付けして、このお店の蝶の模様のお香立てをお持ち帰りいただきました。

 

    •  お花…会場にインドからキャセイで届いた、「パッション」という名前の赤いバラを飾りました。
 
 

レスリーのためにと行った法要でしたが、結果として自分達の心が救われたような気がします。 私たちはこのような形でレスリーの供養をいたしましたが、皆様それぞれご自分なりの方法で、レスリーのために祈りをささげていらっしゃる事と思います。どのような形であっても、レスリーをいつも心に思い、彼の残してくれたたくさんの仕事を大切にし、愛し続けることが、レスリーにとって一番嬉しいことに違いないと思っています。
 

レスリーの魂の安らかなる事を祈ります。 絶對レスリー  Yukie